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理論の大切さ

この前、学生向けの町のガイドマップをみたら、娯楽施設の欄が2つだけあって、
ひとつが、カラオケ、もうひとつがビリヤード場、ただそれだけだった笑
しかも1個ずつかい!って思うと自分の故郷新潟が非常に都会に思えた笑


ということで、特に勉強以外やることがないけど、勉強だけやってるのもなんだかな~ということで、最近読書にはまっている。


ちょうど昨日読み終わったのが、ゴードン・ベルのHigh-tech ventures



silicon valleyの巨匠が、後世に向けて書いたハードウェアベンチャーが成功するためのプロセスが細かくケースを交えながら解説されている。

前半は非常にシンプルで面白く読み進められたけれど
後半は、技術的なことばかりで、UNIX!?聞いたことはあるんだけどね・・・レベルのぼくには理解できるものではなかったので、書評をかくつもりはなくて、書きたいのは「理論の意義」について。


授業用の普通の教科書を読んでいても、これでもかこれでもかってくらいに理論が登場して、これは日本では経済理論とか、理論そのものを扱う授業を取らないかぎりお目にかかれない光景だとおもう。


ましてや、本書のように、実際起業した人物がアカデミックとして十分通用するまで体系化して後世のために本を出版するというフレームワークは日本には存在しないが、その理由について最近思うことがある。



ぼくからするとこんな当たり前のことまで理論化してなんの意味があるんだと思うくらい、理論が整っている背景には、米国をはじめとして、彼らはもともと自分の存在そのものに疑問を投げかけなければならないほど異質性に満ちている世界で生きてきたために、常に物事を単純化して、複雑な状況に対してどうにか向き合う必要があったからだと思う。


シンプルにまとめることで、「あ、実はこれって意外に簡単なことなんじゃないの!?これなら俺でもできそうだからやってみよう。」と多くの人間を魅了し、理論がその分野への参加者を引き込むカタリストになっているんだということだ。そういう意味において理論は非常にプラグマティズムだと思う。



例えば、異文化コミュニケーションにおいても、彼らはそれぞれの国について詳細に特徴をまとめて交渉にどう役だ立てるか、ということを意識している。


一方で、日本人がそれをみると、「どうせそんなステレオタイプの人間なんてひとりもいないんだから、むしろ無駄なバイアス与えるだけで障害になるんじゃない!?」と思ってしまうひとが多い気がする。というか、自分はこっちにくるまで、そう思っていた。


けれども、しばらく過ごして、これは、同質性そのものがもともと保証されているいかにも日本人らしい考え方であることに気がついた。結局、どの人間ももともと自分の想定内にカテゴライズできるので、はじめから個人ベースで見ることができる条件が整っている。だから、そもそもも物事を単純化する習慣が身についてないのも自然な気がする。


異質性が前提の人々にとっては、
おおまかな特徴をとらえているからこそ、自分のこれまでの経験からは一切想像できない出来事に直面しても、事前にフレームワークを知っていることでそれを既知のことように捉えることができたり、単純化された世界に立ち返ることで、われに返り、また冷静に取り組むことができるようになる。
そうやって自分のなかで異質性を消化した後で、はじめて個人として関われるようになる、という時間軸にずれがあるのだ。


理論として単純化されているからこそ、個人に軸を提供することができ、多くの人が「最初の一歩」を踏み出すことができる。
ようやく理論の大切さを自分のなかで考えることができた気がする。


(補足)
といっても、日本人がしょぼいということを言いたかったわけでは決してない。
ゴードンベルの本では、「技術を高める最良の手段はそれをもっている有能な人材を集めることだ」と人材の価値をトップにおいているが、彼も、マーケティングの項で、MBAをもってるような高度な体系的知識を有している人材を雇うのもひとつの有効の手段といっておきながら、皮肉なことではあるが理論を知らない代わりに現場感でずばぬけている日本人に勝るマーケッターは実はいない、というような記述をしている。それなら、最高のマーケッターを育てることができる風土にいながら、MBAにあこがれて取得後、さも洗練されたような気になる日本人が多いのはさらなる皮肉なのか、と一瞬思ったけれど、90年代の話であるし、他の考え方を学ぶ上では重要な意義があるので、ここの議論には立ち入らないことにする。

  by shot_aizawa | 2008-05-29 17:54 | 思いつき

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